2025/05/26 18:50

街はまだ薄暗い。

ユウジはいつものようにランニングステーションの前に立っていた。

深呼吸をして冷たい空気を肺いっぱいに吸い込む。

この静かな朝の時間だけは自分のものだった。

 

「ユウジさん、おはよう。今日も走るの?」受付のマリが顔を出した。

彼女の声は爽やかな風のようで、ちょっとだけ照れくさい。

 

「おはよう。走らなきゃ、なんとなく落ち着かないんだ」

 

彼は少し笑って答えた。

走ることは最近の彼のルーティンであり、生きる意味の一つだった。離婚して静けさに支配された家に居ると胸が押しつぶされそうになる。

このランニングステーションと走る仲間が彼のささやかな支えだった。

 

走り終えて家に戻ったあとは、いつも自分に小さなご褒美を作る。朝食の定番は自作のグラノーラだ。ランナーズスパイスをひとさじ混ぜ込んだそのグラノーラは、クミンやコリアンダーの爽やかな香りが鼻先をくすぐる。

彼にとってこの香りが、朝の空気とじんわり溶け合い、体も心も緩めてくれる。

 

ボウルにグラノーラを盛り、ゆっくりと牛乳を注いだ。

窓の外は、朝日が街をオレンジ色に染め始めている。

 

-今日もいい一日になるだろう-

 

そう信じて、スプーンを口に運んだ。

 

 

【ランナーズスパイス入りグラノーラのレシピ】 


<材料>(2人分)

オートミール 100g

ナッツ(くるみ・アーモンドなどお好みで。出来れば無塩) 50g

ドライフルーツ(レーズンやクランベリー等。出来れば無糖) 30g

はちみつ 大さじ2

オリーブオイル 大さじ1

ランナーズスパイス 小さじ1 


<作り方>

1. オーブンを160℃に予熱する。

2. ナッツは粗く刻む。

3. ボウルにオートミール、ナッツ、ランナーズスパイスを入れてよく混ぜる。

4. はちみつとオリーブオイルを加えて全体に絡める。

5. 天板にクッキングシートを敷き、4を広げて約15分焼く。途中で一度混ぜるとムラなく焼ける。

6. 焼きあがったら冷まし、冷めたらドライフルーツを混ぜ込む。

7. 好みで牛乳やヨーグルト、豆乳をかけて。

 

ユウジは窓を開け、オレンジ色の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

香りで感じるご褒美を、日々の食卓に。
走った日を、香りで祝おう。
ランナーズスパイスを試す


▶ 次の話 【スパイスと、走る|第2話 走る距離と、煮込み時間】