2025/09/05 20:00

今月も、やっぱり走らなかった。

まぁ、そりゃそーだ。

非ランナーである。

でも、走らなかったがやりきった感はある。

ベランダから応援し、銭湯に行き、ランステで冷や汗をかき、夜はだし茶漬けを食べて寝た。

じゅうぶん、これは完走である。

 

では、「完走」の定義とは何だろうか。

 

距離を走りきったこと?

それとも、自分を納得させたこと?

はたまた、翌朝に「やりきった顔」で出勤できたこと?

 

私の「完走」は、どうやら口と胃袋の中で行われているらしい。

 

そもそも、走るというのは、どこか目的地へ行く行為である。

スタート地点とゴール地点がある。

中間には風景や坂や、たとえば給水所や応援の人たちがいる。

 

だが、走らない人間にだって日々、スタートとゴールがある。

 

朝、トーストをかじってスタートし、

昼、コーヒーで一時停止し、

夜、皿を洗ってフィニッシュラインを踏む。

 

その過程にどれだけ「うまいこと」があるか。

それが人生のランニングコースだと、私は思っている。

 

だから私は、日曜の夜くらいはちゃんとゴールインしておこうと思った。

 

…ということで、カレーを作ることにした。

なぜカレーか。

理由は単純。

カレーには、完走感がある。

鍋を火にかけて、野菜を炒める。

スパイスが香ってくると、ああ、もう戻れないなという気分になる。

ルウを割って入れた瞬間の、あの儀式感。

すべてが一つの方向にまとまっていく。

これは「ひと皿のゴール」である。

そこに、最近の私の相棒「ランナーズスパイ」をひと振りする。

 

 

【走らない人のためのスパイスカレー】

 

<材料>(2〜3人分)  

・玉ねぎ 1個(薄切り)

・にんじん 1本(半月切り)

・じゃがいも 2個(一口大)

・鶏もも肉 200g(食べやすく切る)

・サラダ油 大さじ1

・水 400ml

・市販のカレールウ 2〜3かけ(お好みの辛さ)

・ランナーズスパイス 大さじ1

 

<作り方>

1. 鍋に油を熱し、玉ねぎを飴色になるまで炒める。

2. 鶏肉、にんじん、じゃがいもを加えてさらに炒める。

3. 水を加え、アクを取りながら中火で15分ほど煮込む。

4. 火を止めてルウを溶かし、再び弱火で5分ほど煮る。

5. 火を止めてからランナーズスパイスをふり入れ、全体を軽く混ぜる。

 

 

ひと口、すくって食べる。

…うまい。

ゴールインである。

スパイスがふわっと鼻に抜けて、普通のルウカレーが「ちょっと走った気がする」味になる。

胃袋が、42.195kmの達成感に満たされていく。

 

カレーを食べ終わるころには、もう気分は表彰台である。

誰も見ていないけれど、勝手に金メダルをかけた気分になる。

 

翌朝、目覚めて歯を磨きながら、「今日も走らないだろうなー」と思う。

だが、なんとなく走りきった気がする。

 

私のマラソンは、走らずに進む。

カレーでゴールテープを切り、厚揚げで坂道を超え、冷やしだし茶漬けでペースを整える。

 

走らなかったのに、なぜかちょっと走った気がしてくる。

それが、ランナーズスパイスの力かもしれない。

 

走ることも、食べることも、つまりは生きてる証である。

どちらかひとつでも、ちゃんとできれば、人生は完走に値する。

 

私は、今日も立派に走らないで走りきった。

そして明日も…

たぶん、走らない。

*** おわり ***

 

 走らなくても、香りで整う日曜日。

スパイスは、全人類ランナーの味方。

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