2025/10/03 20:00
【ランナーズスパイス冷や汁】
<材料>
・きゅうり 1本
・みょうが 1個
・大葉 3枚
・味噌 大さじ3
・だし汁(冷たいもの) 200ml
・焼き魚(アジやサバ) 1尾分のほぐし身
・ご飯 1膳分
・ランナーズスパイス(Hot) 適量(味噌に混ぜる用)
<作り方>
1. きゅうりは薄切り、みょうがは小口切り、大葉は細切りにする。
2. 味噌にランナーズスパイスを混ぜ、だし汁を少しずつ加えて溶く。
3. 焼き魚のほぐし身と野菜を加えてよく混ぜ、冷蔵庫で冷やす。
4. 器にご飯を盛り、冷や汁をかける。
あの〜、夏の暑い日に走るというのは、まあ、かなりの修行でしてね。
特に昼間なんてのは、汗は滝のように流れ落ちるは、空気は粘つくし、まるで江戸の夏の路地裏で火鉢の炭を煽ってるようなものですよ。
ええ、ほんとに、走ってるのか茹でられてるのか、わからんくらいで。
そんな時、思わず思い浮かべるのが「冷や汁」なんですよ。
いやね、これがまたいいんですなあ。冷たい味噌のスープに焼き魚のほぐし身とさっぱりした野菜たちが溶け合って、飲むと身体中がすーっと涼しくなる。
私なんぞは、走り終わってからのクールダウンにこれをよく作りましてね。まさに夏のランナーの味方ですよ。
暑さでぼーっとした頭と、火照った身体にじんわりしみ込むのが最高なんですなぁ。
で、これに少し工夫してランナーズスパイスを味噌に混ぜてみたんですな。ちょっとした刺激が加わって、普通の冷や汁とはまた違った大人の味わい。いやぁ、いいですな。
走った疲れもいっきに吹き飛びます。
思い返せば、寄席でも夏はお客さんも少なく、汗かきながらの高座は一苦労でして。
そんな時のこの冷や汁の話をすると、お客さんも
「ああ、わかるわかる」
とうなずいてくださる。
走る話じゃなくても、夏の苦労を共有する、そういう場の温かさがたまらないんです。
しかし、夏の疲れは身体だけでなく心にも影響しましてな。
暑さにやられて、ちょっとしたことでイライラしたり、ぼんやりしたり。
そうすると、人とぶつかったり、うっかりウワバミに呑まれたりしちまってね。
まさに夏の暑さは走る距離だけじゃ測れません。
さて、そんな夏の疲れとちょっとした騒動の噺。
暑い夏にぴったりの、愉快で滑稽で少し不思議な噺を一席。
『夏の医者』あらすじ
いやぁ、とある田舎でね、夏の昼間に父親が倒れたんですよ。医者は山向こうなんで、息子が迎えに行く。医者が言うには、「原因はチシャだ、夏のチシャは腹に障る」ってね。今でいうレタスですな。
それで山越えして行こうとしたら…急に辺りが真っ暗になって…気がつきゃウワバミに飲まれてる。刃物もないから、医者が薬箱から下剤を撒いたら…ウワバミが苦しんで、お尻からポーンと脱出。
ようやく父親んとこ着いたら、薬を出そうにも今度は薬箱がない。
あぁ、ウワバミの中に置いてきた…ってんで慌てて戻ったら、ぐったりしてるウワバミがいる。
医者が「今度は一人だけ飲んでくれ」って頼んだら、ウワバミがひと言、
「夏の医者は腹に障る」
…うまいこと言いやがるねぇ、ヘビのくせにね。
夏は何かと大変だって噺でして。

オチのあとに、香りの一席。
走る噺家の、秘密のスパイス。
▶ 次の話 【走る、まくら|第4話 秋風とさんまの話】