2025/10/06 07:00
【焼きさんまのスパイス混ぜご飯】
<材料>
・生さんま 1尾
・ご飯 1膳分
・大葉 2枚
・白ごま 小さじ1
・ランナーズスパイス(Original)小さじ1/2
・醤油 少々
・酢 少々
<作り方>
1. さんまは塩をふって焼き、身をほぐして小骨を取る。
2. ご飯に刻んだ大葉、白ごま、ほぐしたさんまを加える。
3. 醤油と酢をほんの少し回しかけ、ランナーズスパイスをかける。
4. 全体をさっくり混ぜる。
ええ、秋になりますとね、不思議と体が軽くなるもんですな。
暑さが抜けて風が乾いて、空がどこまでも高くて。
走るにはちょうどいい季節なんです。
夏場は汗でびっしょりになりますけど、秋は呼吸がしやすいんですな。
朝なんか特に、鼻からスッと入って、肺の奥に届く空気がもう「走れ」と言ってるようなもんですよ。
で、走ったあとってのは、体のどこかにぽっかり空いた穴を埋めるように、何か食べたくなるんです。
で、そいつを埋めるのにちょうどいいのがさんまでして。
この時期のさんまは、脂がのってて、それをグリルでじっくり焼くと、皮がぱちぱち音を立てながらはぜて、煙が立ちのぼる。
その煙の中に「秋」がいるんですよ。私はそう思うんですな。
先日うちの近所にもね、さんまを焼いてるお宅がありまして、朝走って帰ってくると、その匂いが路地裏にただよってくるんです。
それだけで、なんだか懐かしいような、嬉しいような気持ちになりましてな。
思わず「ただいま」と言いたくなる。
ある朝なんか、走ってきて曲がり角で鼻をひくひくさせてる私を見て、お向かいの奥さんが「犬かと思った」と言いましてな。
そりゃもう、格好悪いはなしで。
それで、うちでもさんまを焼こうと思って、ちょいと工夫して作ったのがこの-焼きさんまの混ぜご飯-。
ただ焼いて食べるのもいいけど、身をほぐしてご飯と混ぜて、大葉やごまで香りを足して、ランナーズスパイスをふわっとひとふり。これがいいんです。脂のコクにスパイスの香りが重なって、なんとも言えない秋の味になる。
これに少し酢を落とすと、疲れた体にもやさしくてね。走ったあとでもぺろっといけます。
まるで「よく走ったな、ほら、これ食べな」と秋がごほうびくれてるような気持ちになりますな。
食ってのはありがたいもんでしてね。普段は見過ごしてるものが、ある日ふと、「こんなにうまかったのか」と気づくことがある。
さんまなんてのはその代表ですな。
子どもの頃は骨が多いだの、口が臭くなるだの言って敬遠してたくせに、大人になってふと食べたら「これほど旨い魚が他にあるか」なんて言い出す。
人間、変わるもんです。
そういえば、昔、ある殿様もそんなことを申しておりましてな、「さんまは目黒にかぎる」と。
さて今日は、そんな「さんま」をめぐって起こる、ほのぼのとした殿様と家来のお噺を一席。
『目黒のさんま』あらすじ
ええ、昔々の話でございます。ある殿様が初めて目黒でサンマを食べましてね。そのあまりの美味しさにびっくり。
まあ、サンマは庶民の食べ物でしてね。
殿様なんかが食べるもんじゃないんですけど。
その殿様はすっかり気に入っちゃって、「屋敷でも用意せい!」と家来に命じました。
ところが、屋敷で丁寧に調理したサンマ。
これがいけませんでね。
丁寧すぎて味も油も落ちてしまう。
結局殿様が一言
「やっぱりサンマは目黒に限る」
世間知らずな結論に達した、というお話でございます。
まあ、殿様も初めてのことだから、しょうがないですよねえ。

オチのあとに、香りの一席。
香りの落ちで、今日も完走。
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