2025/10/10 20:00

【ランナーズスパイス鶏そば】

 

<材料>

・そば(乾麺) 1人前

・鶏もも肉 100g(小さめに切る)

・長ねぎ 1/2本(斜め薄切り)

・だし汁 400ml

・醤油 大さじ1と1/2

・みりん 大さじ1

・ランナーズスパイス(Original)小さじ1/2

・七味唐辛子  少々(好みで)

 

<作り方>

1. 鍋にだし汁を沸かし、醤油・みりんで味をととのえる。

2. 鶏肉を入れ、中火で火を通す。ねぎも加える。

3. 茹でたそばを器に盛り、つゆと具材をかける。

4. 仕上げにランナーズスパイスをかける。お好みで七味を。

 

 

いやね、冬の朝ってのはやっぱり布団から出るのにちょっと覚悟がいるんですよ。

ましてや走るってなると、頭のどっかで

「やめときゃいいじゃないか」

って声がする。

でね、たいてい負けます。

その声に。

それでもですね、なんとか起きて、靴ひも結んで、冷たい空気の中を走り出すと、ほら、5分もすれば

「今日も走ってよかったな」

なんて、調子のいいことを思い始める。

人間なんてのは勝手なもんですな。

 

そうしてぐるっと一回りして戻ってくると、鼻の頭は赤く、手袋の中の指はまだ少しかじかんでる。

汗もかいたし、風も受けたし

「温かいうまいもんが食いてぇな」って自然と湧いてくる。

 

で、そういうときに食べたくなるのが蕎麦なんですな。

しかも鶏のだしのきいたやつ。

自分で作るときは、鶏ももをちょいと煮て、そこに長ねぎ。

それだけでもじゅうぶんなんですが、そこへ、ランナーズスパイスをひとふりすると、また表情が変わる。

うんと冷えた朝に走ったあと、この蕎麦をずずっと啜ると、胃の中だけじゃなくて、背中のあたりまであったまる感じがするんですな。

 

寄席の帰りなんかでも、蕎麦屋にふらっと入って「鶏南蛮」なんて頼んでね。で、出てくるまでの間の時間がまたいい。

湯気の向こうからご主人が「へい、おまち」とか言って、ずいっと丼を差し出してくる。

湯気が顔にふわっと当たって、蕎麦の香りが鼻をくすぐる。

あの一瞬に「ああ、生きててよかった」ってなる。

 

それでね、思うんですよ。

「蕎麦屋ってのは、どくとくな時間が流れてるな」って。

注文して、待って、食べて、払って、帰るまでの、あのテンポ感。

誰も急いでない。

あっ、立ち食い蕎麦じゃないですよ。

けどね不思議なことに、店の外の時間は普通に流れてて、帰ったら帰ったで「もうこんな時間か」

なんてこともある。

 

それが面白くてね。

昔から「蕎麦屋と時間」ていうのは、なにかとつながりが深いらしいですな。

だって、「時を食う」なんて表現、蕎麦以外にはあんまり使いませんよ。

 

まぁ中には、蕎麦屋で時間をうまくごまかすような、器用な客もいたようでして。

ま、あまり詳しくは言いませんが、「勘定のタイミング」でちょいと得しようなんて、おかしな人もいたようです。

 

さて今日はですね、そんな蕎麦屋でのやりとりを巡って起こる、とあるズル賢い男の、ちょいと間抜けで、でもどこか憎めない一席を。

どうぞお楽しみください。

 

 

『時そば』あらすじ

 

ええ、ある冬の夜のことです。

男がそば屋の屋台を呼び止めて、「そば一つ」って頼むわけですよ。

そばを食べながら、「いやあ、うまいねぇ」と褒めるんです。

とにかく褒め倒すんですな。

で、勘定の時にね、銭を一枚ずつ数えながら、「一つ、二つ…」って。途中で「今何時ですか?」って聞くと、そば屋が「九つです」と答える。そこで男は、「十、十一…」と数えて、一文をこっそり懐に入れちまうんですな。これが江戸っ子の悪知恵ってやつです。

でね、これを見てた別の男が次の日、同じようにやるわけですが、そばがまずくてね、「こんなそば、褒めるところなんかねぇよ」って思いながらも、まねする。

で、「今何時?」って聞くと、そば屋が「四つです」って。男は四つから数え始めて、結局損しちまう。

 

まあ世の中ってのは、そうそううまい話はないってことですな。


*** おわり ***

オチのあとに、香りの一席。

うまい話には、いい香りがする。

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