2025/11/03 07:00

上田から千曲川沿いを走っていると、川の向こうに真田の郷が見える。

十一月に入った信州は、既に朝夕の冷え込みが厳しく息が白くなる。

でも日中の陽射しは暖かく、走っていると汗ばんでくる。

 

今日の目的地は小諸。

そこで信州の代表的な郷土料理「おやき」を研究するつもりだ。

おやきは小麦粉の皮に野菜等の餡を包んで焼いた素朴な料理だが、その歴史は古く、戦国時代から作られていたという。

 

小諸の古い街並みを走り抜けて、老舗のおやき屋を見つけた。

店先では炭火でおやきを焼いていて、香ばしい匂いが漂っている。

 

「何種類かいただけますか」と頼むと、野沢菜、切り干し大根、かぼちゃ、あずき、おから、茄子と、六種類のおやきを勧められた。

どれも皮がもちもちしていて、中の餡は野菜本来の甘味が生きている。

特に野沢菜のおやきは、発酵した野沢菜の酸味と旨味が絶妙だ。

 

「この野沢菜、自分たちで漬けてるんですか」と聞くと、店主のお婆さんが誇らしげに答えた。

 

「もちろん。毎年十一月になったら、山から野沢菜を取ってきて、昔からのやり方で漬けるんだよ。それを一年間使うんだ」

 

信州の厳しい冬を乗り越えるための保存食として発達したおやきは、野菜を長期保存する知恵と、小麦粉を有効活用する工夫が組み合わさって生まれた料理なのだ。

 

宿に戻る前に、私は地元の直売所で野沢菜と地粉を購入した。

今夜はおやきを作ってみよう。

 

【信州ランナーズスパイス入りおやき(ヴィーガン仕様)】

 

<材料>(8個分)    

・地粉(薄力粉) 300g

・熱湯 180ml

・塩 小さじ1/2

・野沢菜漬け 200g

・しめじ 100g

・ランナーズスパイス (vegan)小さじ1/2

・ごま油 小さじ1

 

<作り方>

1. 地粉に塩を加え、熱湯を注いで箸でかき混ぜる

2. 粗熱が取れたら手でこねて、なめらかな生地を作る

3. 野沢菜は水気を絞って細かく刻み、しめじと炒める

4. ランナーズスパイスとごま油を加えて餡を作る

5. 生地を8等分し、餡を包んでまん丸に整える

6. フライパンで両面をこんがりと焼く

 

ランナーズスパイスが加わることで、野沢菜の酸味にパンチが効いた。

走った後の空腹に、このスパイシーな刺激が心地良い。

伝統的なおやきの素朴さを保ちながら、現代の味覚にも訴える一品になった。

 

夜、浅間山を眺めながら温泉に浸かりながら、信州の人々の逞しさを思った。厳しい自然環境の中で、限られた食材を工夫して美味しい料理を生み出してきた先人たちの知恵に敬意を払わずにはいられない。

 

おやきの丸い形は、家族円満を願う気持ちの表れだという話も聞いた。

料理に込められた人々の願いや祈り。それを感じ取ることができるのも、郷土料理研究の醍醐味なのかもしれない。

 

 

(信州おやき)

 

 長野県の「おやき」は、小麦粉や蕎麦粉で作った皮に野沢菜やあんこ、きのこなどを包んで焼いた郷土料理である。

囲炉裏の灰の中に埋めて焼く「灰焼き」が伝統的な作り方だった。

山間部の厳しい冬を乗り切るための知恵から生まれたこの食べ物は、手のひらに収まる小さな宝物のようだ。

一口かじると、信州の山の香りがふわりと口の中に広がる。

 

走る人に、土地の香りを。

香りでめぐる、五つのご褒美。

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