2025/09/05 20:00
今月も、やっぱり走らなかった。まぁ、そりゃそーだ。非ランナーである。でも、走らなかったがやりきった感はある。ベランダから応援し、銭湯に行き、ランステで冷や汗をかき、夜はだし茶漬けを食べて寝た。じゅ...
2025/09/01 07:00
最近、よく耳にする「ランステ」という言葉。最初に聞いたとき、「ランニング・ステーキ」の略かと思った。走った後に肉を焼いて食べる。それはそれで理にかなっている気がするし、なにやらすごく旨そうだ。 ...
2025/08/29 20:00
マラソン大会のあった日曜の夕方。町は落ち着きを取り戻していた。ゼッケンもテントも撤去され、パン屋も平常営業に戻っていた。私は無事にクリームパンにありつき、満ち足りた気分で銭湯へ向かった。 そう...
2025/08/25 07:00
朝、目覚めたときから何かが変だった。窓を開けると、なにやらざわざわしている。いや、別にうるさいわけじゃない。ただ、色々な音が混じっている感じ。拡声器なのか、「えーただいまよりー」などという、町内放...
2025/08/22 20:00
日曜日の朝、ベランダに出ると走っている人がいる。それも一人や二人ではない。ぞろぞろと、にょろにょろと、ひょろひょろと走っている。なぜ走るのか。日曜の朝に。ふつう日曜の朝といえば、納豆と味噌汁の香り...
2025/08/18 07:00
風が、安中の城下を抜けていった。それは音を立てて吹いたのではなく、ただ静かに、だが確かに人々の心のあわいを撫でていくようだった。吉十は、今年も走れなかった。足の悪い彼は、町の端で見守るだけだ。それ...
2025/08/15 20:00
「おとうさまは、もう峠に着かれたころでしょうか」おすみは、庭の草を摘みながら空を見上げた。霞がかかる碓氷の方角は、うっすらと陽炎が揺れている。あれが春というものか、と思う。遠足の日。安中藩中が騒が...
2025/08/11 07:00
四十を越えて走るなど、正気の沙汰ではない。そう思いながら、仁科清三郎は脚を前に出した。重い脚だ。若い頃のようにはいかない。膝の古傷が時折きしむ。だが、安中藩主の命である。遠足と称した、武士の鍛錬の...
2025/08/08 20:00
山の茶屋に、ひとりの娘がいた。名はお滝。歳は十九。父が亡くなってからは、母とふたりでこの碓氷峠の中腹にある茶屋を切り盛りしている。今日は早朝から忙しかった。藩の「遠足」だというので、男たちが次々と...
2025/08/04 07:00
~プロローグ~時は安政二年(一八五五年)。群馬・安中藩にて、一風変わった「鍛錬」が始まった。安中城から、標高千二百メートルの碓氷峠にある熊野神社まで。山を駆け、谷を越え、片道五里およそ二十キロの往...
2025/08/01 20:00
朝、目を覚ましたときには、すでに彼の姿はなかった。 テーブルの上に、水の入ったコップと、走り終えたばかりのような空気が残っていた。私はそれを深く吸い込んでから、コーヒーを淹れた。 あの子が...
2025/07/28 07:00
久しぶりに、予定のない土曜日だった。朝から晴れて風も穏やかだったので、家じゅうの窓を開け放った。ベランダの洗濯物が、からからと軽い音を立てて揺れる。リビングには、湯気のたつマグカップと、焼きたての...
2025/07/25 20:00
今夜は珍しく、息子の部屋から音がしない。スマートフォンの光も漏れてこない。代わりに、窓の外から虫の声がかすかに聞こえてくる。そんな夜は心が不思議と澄んでいく。 私は一度キッチンに立って、水を飲...
2025/07/21 07:00
雨の日は、時間がゆっくり流れる。けれど、今日はその流れ方がどこかちがっていた。 午後二時すぎ、玄関のドアが静かに開く音。学校から息子が帰ってきた。私はキッチンのタオルを持ったまま、首だけをのぞ...
2025/07/18 20:00
制服の背中が、少しだけ伸びた気がした。それを伝えたくて口を開きかけたけれど、やめた。彼の背中に向かって言うには、まだ早いような気がする。 台所には、湯気が残っていた。ごはんを握ったばかりの手の...














