2025/07/14 07:00
土曜日の朝は、やさしかった。風のにおいも、空の色も、なぜかしずかにしていた。 ぼくはゆっくり靴ひもを結んだ。いつもより、ゆっくりと。まだ肌寒いのに、手はふしぎとあたたかかった。 川沿いの道...
2025/07/11 20:00
金曜日の朝、夢を見た。父が、少し若い顔で立っていて、ぼくを呼んでいた。だけど目を覚ますと、部屋のなかはしんとしていて、風の音だけが残っていた。 午前十時。今日も走ろうと思った。だけど足がむずむ...
2025/07/07 07:00
木曜日の朝、ぼくは父の机の引き出しを開けて、万年筆をみつけた。書いてみるとインクがかすれていた。ペン先が少し欠けてる。でも、万年筆には父の手のぬくもりが残っているような気がした。 午前中の光の...
2025/07/04 20:00
水曜日の朝、目がさめたとき、ぼくは昨日より少しだけすぐに立てた。階段を降りると、母がテレビを観ながら、紅茶を飲んでいた。 「おはよう」 「おはよう」とぼくも言った。 なんでもない挨拶だ...
2025/06/30 07:00
父がいなくなった翌週の火曜日、ぼくは走った。 葬式のあと、学校はしばらく休んでもいい、と母が言ってくれた。そういうときは無理をしない方がいい、と先生も言った。だから、今、朝の時間は丸ごとぼくの...
2025/06/27 20:00
雨の降る前の空気が好きだった。しっとりと湿って、光が柔らかくなる。葉の輪郭が少し滲んで見える。それが、好きだった。 千紘は、鎌倉駅から海沿いへとゆっくり走っていた。梅雨入り前の貴重な晴れ間。紫...
2025/06/23 07:00
日曜の午前、新潟駅からバスで15分。信濃川の堤防に立つと柔らかい陽射しとともに、菜の花の群れが視界に入った。渡瀬拓也は、その風景をただじっと見ていた。 来ないかと思った。 背後から声がした。...
2025/06/20 20:00
新学期が始まってすぐの4月。和史は午後の多摩川を走っていた。両耳にはワイヤレスイヤフォン。Sun RaのWherePathways Meet。 あまり知られていないジャズを聴きながら、世田谷の街を抜けていく。 走るのは...
2025/06/16 07:00
「お前、ほんとに走る気かよ?」 克己はそう言われた。言ったのは、20年来の旧友川村だった。東京の会社を定年で辞め、今は逗子で写真を撮って暮らしている。 「ああ。だって医者が言うんだ『血糖値、...
2025/06/13 20:00
あさの5時台。東京の空がうっすら白むころ、凛子は代々木公園の外周に立っていた。ガーミンのボタンを押す前に、イヤフォンを耳にはめる。流れてきたのはThePoliceのWalking on the Moon。 テンポに合わせて...
2025/06/09 07:00
ユウジはいつものランニングステーションの軒先に早朝の光を浴びながら立っていた。昨日の雨は上がり、空は澄んだ青。遠くで小鳥がさえずり、街は新しい一日を迎えていた。 「もうすぐ特別な日だ」大切な友...
2025/06/06 20:00
ユウジは仕事帰りの夜道をゆっくりと歩いていた。東京の街灯が淡く彼の影を伸ばす。疲れた身体を癒すのは、やはり走ることだけではない。時にはゆったりと歩きながら、頭の中で次のランニングのコースや料理のア...
2025/06/02 07:00
その朝、ユウジは雨音で目を覚ました。窓の外には灰色の空が広がり、今日のランニングは休みだ。けれど走れない日も、彼にとっては自分を見つめ直す大切な時間だった。 リビングでコーヒーを淹れながら、彼...
2025/05/30 20:00
ユウジは夕暮れの公園をゆっくりとジョギングしていた。日中の喧騒が嘘のように、静かな影が伸びる。身体はまだ疲れているが、それでも走り出すと雑念が消える。 走り終えた帰り道、彼の頭には「ランナーズ...
2025/05/26 18:50
街はまだ薄暗い。ユウジはいつものようにランニングステーションの前に立っていた。深呼吸をして冷たい空気を肺いっぱいに吸い込む。この静かな朝の時間だけは自分のものだった。 「ユウジさん、おはよう。...














